先日、数年前にご相談に来られたお客様からご連絡をいただきました。
その方は当時すでにマイホームを購入され、住宅ローンも組まれていましたが、最近になって奥様が体調を崩され、思うように働けなくなってしまったそうです。
収入が減ったことで、今後の生活に不安を感じ、家計全体を見直したいというご相談でした。
家計を見直そうと思ったとき、多くの人が最初に手をつけるのは生活費です。
食費を少し抑えたり、外食の回数を減らしたり、使っていないサブスクを解約したり。
やってみると、「まだ減らせるところ」は案外見つかります。通信費を見直すだけで、毎月数千円浮くことも珍しくありません。
教育費も同じで、子どもの成長に合わせて習い事を整理したり、進学の選択肢を見直したりすることで、家計の負担を調整する余地はあります。
生命保険も、加入した当時のまま内容を確認していないと、今の家族構成や収入に合っていないケースがよくあります。
ところが、どんなに家計を工夫しても、どうにもならない支出があります。
それが住宅ローンです。
今月は少し苦しいから支払いを待ってもらう、という選択肢はありません。
体調を崩して収入が一時的に減っても、住宅ローンの返済日は容赦なくやってきます。
家計の中で、最も融通が利かず、最も長く続く支出が住宅ローンなのです。
だからこそ、多くの人がこう考えます。
「少しでも金利の低い住宅ローンを選べば安心だよね」と。
金利比較サイトが教えてくれないこと
今はインターネットで簡単に金利を比較できます。
ランキング形式で「今一番低い金利」が並び、シミュレーションをすれば毎月の返済額や総返済額もすぐに分かります。
0.1%の違いでも、返済期間が長ければ総返済額は数十万円、場合によっては百万円以上変わりますから、一見すると、とても親切で合理的です。
住宅ローンにおいて、金利が重要な要素であることは間違いありません。
ただし、金利比較サイトが教えてくれるのは「今の条件で、どこが一番低いか」ということだけです。
その住宅ローンを、あなたが本当に最後まで払い続けられるかどうかまでは教えてくれません。
住宅ローンは、20年、30年、35年という時間をかけて返し続ける、人生で最も長い契約です。
その間に、人生が一度も揺らがないという前提そのものが、実はとても危ういのです。
共働きという前提が崩れたとき
最近の住宅購入では、夫婦共働きが前提になっているケースがとても多くなっています。
ペアローンや収入合算を使い、夫婦二人の収入を合わせて借入額を決める。
今の収入ベースで考えれば、無理のない返済計画に見えることも多いでしょう。
ただ、その計画は「夫婦どちらも、これから先も今と同じように働ける」という前提の上に成り立っています。
けれど現実には、人生がそんなに予定通りには進まないこともあります。
病気やケガで長期間働けなくなることや、メンタルの不調でフルタイム勤務が難しくなることもあります。
親の介護が突然始まり、働き方を変えざるを得ないこともあります。
こうした出来事は、特別な家庭だけに起こるものではなく「いつ自分に起きてもおかしくないこと」です。
さらに見落とされがちなのが、片方に何かが起きると、もう片方に負担が集中するという現実です。
収入の減少を補おうと無理を重ね、心身ともに疲弊してしまう。
そうした状態で住宅ローンを払い続けることは、想像以上に大きなストレスになります。
それでも、住宅ローンの支払いは止まりません。
団体信用生命保険があるから安心、とは言い切れない
「住宅ローンには団体信用生命保険がついているから大丈夫」
そう考える方は多いでしょう。
確かに、死亡や高度障害になった場合には、住宅ローンが完済される仕組みです。
家族に住まいを残せるという意味で、非常に重要な制度ですが、問題はその一歩手前の状態です。
命に別状はないものの、以前のように働けないので、収入は大きく減っている。
それでも住宅ローンは残り続ける。
ペアローンの場合、片方のローンだけがそのまま残ることもあります。
この「生きているけれど、思うように働けない状態」こそ、家計にとって最も厳しい局面です。
金利がいくら低くても、この状態に耐えられる設計になっていなければ、安心とは言えません。
住宅ローンで本当に考えるべき視点
住宅ローンを考えるとき、多くの人は「今の収入で返せるかどうか」を基準にします。
もちろんそれも大切ですが、それだけでは不十分です。
本当に考えるべきなのは、「何かあったときでも返し続けられるか」という視点です。
収入が減ったとき、働き方が変わったとき、それでも家を手放さずに済むかどうか。
住宅ローン、保険、生活費がきちんと連動しているかどうか。
住宅ローンは単体で考えるものではなく、家計全体、そして人生全体の中で考える必要があります。
金利比較よりも、暮らしを守る住宅ローンを
マイホームは、今の暮らしを豊かにするために買うものですが、住宅ローンは、未来の自分と家族を長期間縛る契約でもあります。
金利の低さだけで判断するのではなく、「もし働けなくなったとしても、この家に住み続けられるか?」
その問いにきちんと向き合うことで、安心感がまったく違います。
生活費は見直せます。教育費も調整できます。保険も変えられます。
それでも、住宅ローンだけは止まりません。
だからこそ、金利比較だけでなく、人生そのものを守れるかどうかで考えることが大切なのです。
「金利が低いから安心」ではなく、「続けられるから安心」。
その視点が、これから先の暮らしを確実に支えてくれます。
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幼少の頃2DKの公団住宅に住んでいたため、マイホームへ強い憧れを持っていました。しかし、初めての住宅購入では失敗・・・その経験から住宅購入者が失敗を未然に防ぎ、満足のいく家づくりのお手伝いをしています。
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全国のFPが会員登録している日本FP協会様より、実務家FPとして取材を受けました。
「シンヴィング」様より住宅購入相談FPとして取材を受けました。(クリックで拡大します)
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