土地購入時の指値とは?|住まいのお金FP相談室
マイホームの購入を考えている方の中には、
「土地って値引き交渉できるの?」
「売り出し価格って、確定した金額じゃないの?」
「値引き交渉したら嫌がられない?」
と感じる方も多いのではないでしょうか。
特に住宅購入が初めての方ほど、“売り出し価格=購入価格”のように感じてしまいがちです。
しかし実際の不動産売買では、「指値(さしね)」という考え方があります。
この“指値”を上手に活用できるかどうかで、住宅購入後の家計に大きな差が生まれることもあります。
今回は、土地購入時の「指値」とは何なのか?
そして、「上手な指値の考え方」について、分かりやすくお話していきます。
そもそも“指値”とは?
指値とは、不動産購入時に買主が希望する購入価格のことをいいます。
例えば、1,000万円で売りに出ている土地があったとします。
その時に、「950万円なら購入したいです」という希望価格を売主側へ伝えることができます。
これが“指値”です。
不動産は売主と買主の相対取引であり、スーパーの商品のように“定価販売”ではありません。
つまり、お互いが納得すれば、いくらで売買しても自由なのです。
もちろん、必ず値引きが成功するわけではありません。
しかし、「値引き交渉をすること自体」が失礼というわけではありませんので、安心してください。
なぜ土地価格には“幅”があるのか?
ここで、多くの方が疑問に思います。
「でも、売り出し価格って、ちゃんと根拠があるんじゃないの?」
その通りです。
一般的に土地を売却する際には、不動産会社が仲介に入り、過去の取引事例などを参考に価格を決めます。
例えば、
・近隣で似たような土地がいくらで売れたのか
・前面道路の広さ
・土地の面積
・駅からの距離
・用途地域
・周辺環境
などを総合的に見ながら、売り出し価格を設定していきます。
しかし、ここで大事なのは、“過去の事例”はあくまで参考価格にすぎないということです。
土地は同じものが2つとして存在しません。
同じ分譲地内の土地ですら、
「日当たりが違う」
「電柱がある」
「土地の形が違う」
「高低差がある」
など、条件は微妙に異なります。
つまり、売り出し価格は「絶対的な正解」ではなく、「このくらいなら売れるだろう」というスタート価格なのです。
指値が通りやすい土地には特徴がある
実際の取引現場では、指値が通りやすい土地と、通りにくい土地があります。
例えば、
「駅徒歩5分以内」
「人気の学区内」
「売り出し価格が相場より安い」
こういった物件は、他にも購入希望者が現れやすいため、値引き交渉が難しい傾向にあります。
一方で、
「売りに出してから長期間売れていない」
「土地の形が少し特殊」
「古家の解体が必要」
「擁壁工事が必要」
「下水道接続工事が必要」
など、買主側に追加負担が発生するケースでは、指値が通る可能性があります。
そして注文住宅の場合、土地の購入後に建築費が想定以上に増えるケースも少なくありません。
例えば、地盤改良工事が必要となって追加費用がかかったり、外構工事の見積もり金額が想像以上に高額になったりすることもあります。
また、前面道路から水道を引き込む工事が必要となるなど、予期していなかった費用が発生するケースもあります。
このように、住宅会社との打ち合わせが進むほど、当初は見えていなかった追加費用が少しずつ明らかになってくることは、決して珍しいことではありません。
だからこそ、土地購入時点で数十万円でも価格を抑えられる意味は非常に大きいのです。
FPとして感じる“危険な住宅購入”
当社は今まで数多くの住宅購入相談を受けてきましたが、住宅購入で失敗する方には、ある共通点があります。
それは、「土地と建物の金額だけしか見ていない」ということです。
住宅購入では、土地や建物の費用以外にも、住宅ローンの諸費用や火災保険料、外構工事費用など、さまざまなお金が必要になります。
さらに、新生活に合わせて家具や家電を購入したり、引っ越し費用が発生したりするほか、入居後には固定資産税の支払いも始まります。
また、カーテンやエアコンなどの費用も意外と大きな出費になり、住宅購入時には想像以上に多くのお金が出ていくのです。
ところが、土地探しだけに夢中になると、
「この土地を逃したくない!」
という気持ちが先行し、冷静な判断ができなくなる方も少なくありません。
その結果、
「急いで契約した結果、住宅購入後に予算オーバーであったことが判明し、生活が苦しくなった」
というケースも実際にあります。
契約日が近づくにつれて不安が大きくなり、「このまま契約して本当に大丈夫でしょうか…」と、直前になってお問い合わせをいただく方も後を絶ちません。
だからこそ、土地・建物の価格だけを見るのではなく、“住宅購入後の家計”まで考えた資金計画が大切なのです。
“値引きできた=得した”ではない
ここで注意して欲しいことがあります。
それは、「値引きできたら勝ち」という単純な話ではないということです。
例え相場より安く購入できたとしても、災害リスクが高いエリアだったり、将来的に売却しづらい立地だったりするケースがあります。
再建築に制限のある土地など、大きなデメリットを抱えている場合もあるため、単純に「安いからお得」とは言い切れないこともあるのです。
また、中古住宅では売主が個人の場合も多く、「大切に住んできた家」という感情が入っていることもあります。
そのため、強引な値引き交渉を行うのではなく、根拠のある金額を提示することが大切です。
例えば、下水道の接続工事に追加費用がかかる、擁壁の補修工事が必要、建築時に造成費用が別途発生するなど、買主側の負担を丁寧に説明しながら交渉していくことが重要です。
単に「安くしてください」と伝えるのではなく、なぜ価格交渉を希望するのかを具体的に伝えることで、売主側にも納得してもらいやすくなります。
不動産会社によって対応が変わることもある
ここは意外と知られていませんが、不動産会社によって“値引き交渉への協力度”はかなり違います。
なぜなら、不動産会社が受け取る仲介手数料は売買価格に連動しており、価格が下がることで、仲介手数料も下がってしまいます。
そのため、値引き交渉を嫌がり、早く契約を進めたがる不動産会社も存在します。
住宅購入は人生最大級の買い物ですから、数十万円の差が今後の教育費や老後資金に影響することもあります。
だからこそ、“あなたの味方になってくれる担当者”を選ぶことが大切なのです。
未来の安心を判断するきっかけに
住宅を購入した後にも、子どもの教育費や車の買い替え、住宅の修繕費など、さまざまなお金がかかってきます。
さらに、将来の老後資金も準備していかなければなりません。
つまり、住宅は「買って終わり」ではなく、その後も長い生活が続いていくのです。
だからこそ、今の収入だけで判断して住宅を購入するのではなく、将来にかかるお金まで考えながら資金計画を立てることがとても大切になります。
当相談室は
「住宅を購入できるか?」
だけではなく、
「住宅購入後も安心して暮らせるか?」
を重視しています。
そのためには、住宅価格だけを見るのではなく、住宅ローンの返済計画や建築費、将来の教育費、老後資金まで含めて考えることが大切です。
さらに、今後の働き方や収入の変化も見据えながら、住宅購入後も無理なく暮らしていけるかを総合的に判断していく必要があります。
そのうえで大切なのは、値引き交渉の結果だけに注目するのではなく、それをきっかけとして
「この価格は本当に妥当なのか」
「あとから追加費用は発生しないのか」
「住宅購入後も無理なく生活していけるのか」
といった視点までしっかり考えることです。
値引き交渉は単なる価格のやり取りではなく、住宅購入全体のリスクや資金計画を見直す良い機会にもなるのです。
マイホーム購入は、多くの方にとって一生に一度の大きな決断です。
だからこそ、購入後の暮らしまで見据えながら、安心して生活できる資金計画のもとで後悔のない選択をしていただくことが大切です。
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【CFP 真崎 喜雄】
幼少の頃2DKの公団住宅に住んでいたため、マイホームへ強い憧れを持っていました。しかし、初めての住宅購入では失敗・・・その経験から住宅購入者が失敗を未然に防ぎ、満足のいく家づくりのお手伝いをしています。
メディア掲載実績
全国のFPが会員登録している日本FP協会様より、実務家FPとして取材を受けました。
「シンヴィング」様より住宅購入相談FPとして取材を受けました。(クリックで拡大します)
工務店さん向けに「工務店が知っておくべき資金計画」の研修講師を行いました。
ニューファミリー新聞社様にて、著書「生命保険見直し成功マニュアル」が紹介されました。

















